レンジフードクリーニングの手順を説明するよ!
☆この章のポイント
・段取り次第で作業効率が大幅に変わります!
・油汚れが一番きつい箇所なので汚れを広げない工夫を!
・1つの作業をしているときに、別の工程で作業がすすんでいる状態を作ります
作業に入る前に大切なお客様とのトーク
・汚れがきつく、設備の年式が古い場合、汚れを完全に落とそうとすると塗装が剥がれてしまう可能性がある。(化粧面の塗装が剥がれると見栄えが悪くなる)
・お客様の意向の確認が必要
「ある程度塗装が取れてもよい、しっかり油汚れを取ってほしい」
「塗装がなるべくとれないように作業してほしい」
「外から見えない部分(見えにくい部分)は、塗装が取れてもよいが、目立つところはいや」
特に、フィルターの部分は塗装が取れたり、浸け置きでアルミが変色しやすいです。お客様立会いで細かく場所を確認し、どの程度までやっていいのかお話をした上ですすめます。
①コンテナBOXをシンクにセットして、シロッコファン、フィルター、洗濯ネットなどが完全に浸かるくらい水を張ります。水にケミクールを20倍に希釈する感覚で溶かします。重曹やセスキ炭酸ソーダを使う場合は1リットルに対し大さじ3杯くらいが目安です。苛性ソーダが使える場合は、5リットルに対して大さじ2杯くらいが目安です。
ちなみに、汚れを溶かすパワーとしては
ケミクール+苛性ソーダ>ケミクール>重曹・セスキ炭酸ソーダ
です。
水に投げ込みヒーターを投入して、温度を上げていきます。お客様にお湯を使わせて頂ける場合はできるだけ高温でセットすると水を温める時間を短縮できます。
お湯の温度が高いほど、汚れを溶かすパワーが強くなり時短になります。
②お湯を沸かしている間に、養生作業に入ります。キッチンの床全体に古新聞を敷き詰め、上にブルーシートで養生します。レンジフード周辺をコロナシートで養生します。レンジフード内部に洗剤をかけたときに、流れ落ちる状態をイメージしながら、その汚水が周辺を汚さないように考えながら養生していくのがコツです。コンロの上は古新聞を敷いてからコロナシートでマスキングして、全体にタオルを敷いておくとよいです。
③養生ができたら、分解作業に入ります。
機種によって異なりますが、分解できる可能性がある部分は
フードカバー
整流板
シロッコファン
シロッコファンのカバー
シロッコファンのモーター
照明部分
です
フードカバーが分解して取り外せると、かなり作業が楽になります。
フードカバーや整流板はキッチン以外で洗える場所が確保できると、かなり作業がしやすいです。
大きいのでキッチンで作業すると、他の作業の邪魔になりますし、汚れが広範囲に飛びます。
ベランダや庭を使わせてもらえる場合は、先に移動して一回ケミクールを噴霧して置いておくと後が楽です。ホースを使って水を流して作業ができるならとても作業効率が良いです。
分解できたら、まだ十分にお湯が温まっっていなくても、電球、モーター以外はコンテナBOXに投入していきます。ネジなどの細かい部品は洗濯ネットに入れて投入します。
できたら、全部分解すると仕上がりが良くなりますが、無理をせずできる範囲で分解します。
フィルターとシロッコファンは絶対に分解します。
④レンジフード本体の汚れ具合を観察しながら、油汚れがかなり溜まっている場合は、ヒートガンで加熱しながら、ケレンやサッシのみを使って削っていきます。レンジフード下部のレール溝は油がたまりやすく、作業しずらい部分になりますので、サッシのみなどで丁寧に油を除去していきます。油の厚みが2ミリ以上ある場合は、いきなりケミクールをかけてもなかなか溶けませんので非常に時間がかかってしまいます。浸け置きで加熱している時間にこの油のかたまりを物理的どれだけ上手く除去できるかが、時短の最大ポイントになってきます。のみとヒートガンでは完全に除去はできませんので、神経質にならず、次の工程で作業しやすいようにイメージしながら均一に油を削っていきます。
⑤ある程度、油が削れてきたら、たれない程度全体にケミクールを噴霧して、浸け置きの様子をみます。慣れないうちは、浸け置きからシロッコファンなどを一度取り出して、水で流してどれくらい溶けているか確認してもいいです。かなりゆるくなっていたら、浸け置きの中でまわしながらブラシでこすって大雑把に油を取っていきます。
⑥再び、本体の様子をみます。ある程度削ったところに洗剤が反応していれば、油がどんとん溶けてきますので、溶けた油は雑巾で回収します。雑巾もギトギトになってきますので、随時浸け置きの中で油を溶かして、なるべくきれいな雑巾を使うのがコツです。
⑦ ④〜⑥の工程を繰り返していると、ほとんどの油のかたまりが取れて細かい汚れだけになってきます。道具をパッドに切り替えて、シロッコファンのケース内は茶パッド、フードの化粧面は赤パッドを使い、ケミクールを噴霧しながら油が完全に除去できるまで雑巾で油を吸い取っていきます。
浸け置きの中の部品も細かい部分をブラシでこすって完全に油が無い状態までもっていきます。
フードカバーに関しても同様です。
⑧全体に油がとれた状態に持っていけたら、浸け置きのお湯を抜いて、部品を流水でながして水分をとります。部品を元通りに組み上げ、最終仕上げの拭き上げを行います。
この説明ではずっと、「ケミクール」という表現を使っていましたが、作業開始時点では10〜20倍くらいの希釈率で使っていて、減ってきたら水をどんどん継ぎ足して洗剤の濃度は薄めていきます。
最初は汚れがきついので、濃いほうがいいのですが、仕上に近づくと濃いとベタベタしてきれいに仕上がりません。
最終仕上げの段階ではかなり薄くなって、ほとんど水くらいの薄めの方がきれいに仕上がります。
一番最後にマイクロファイバータオルで拭き上げて、光を当ててみて油分が見えなければ完成です。
⑨養生を片付けて、汚れが飛んだり、汚水が流れてしまった部分があれば拭き上げます。スイッチを入れてみて動作確認を行い終了です。
④〜⑥の工程のように、別の作業をしているときも、洗剤と温度の力で仕事をしてもらうのがポイントになります。
また、導入のトークで説明した、塗装の剥がれに関しては、浸け置きの温度・時間・洗剤の濃度によって温度が高く時間が長く濃度が濃いほど発生しやすくなりますので、どうしても塗装が取れるのがいやだというお客様の場合は、低く短く薄くから初めて、確認するスパンも短くします。ちょっとでも異変を感じたら作業を止めます。
別料金で再塗装することも視野に入れつつ、しっかりお客様と打ち合わせしながらすすめていくのが肝要です。
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